会社の清算

会社の解散

会社の解散とは会社の法人格を消滅させる原因となる法的事実であり、
会社の清算手続きに着手するための第一ステップです。

順序 手順の名称 手順の内容
@ 会社の財産の調査 解散時における財産の現況調査すること
A 現務の結了 解散前の会社の業務の後始末をすること
B 財産の換価 階差財産を売却し資金化すること
C 債務の取立て 売掛金や貸付金といった債務を回収すること
D 債務の弁済 銀行などからの借入金を返済すること
E 残余財産の分配 残余財産があれば出資者に分配すること

・会社は次に揚げる事由によって解散します。

@ 定款で定めた存続期間の満了
A 定款で定めた解散の事由の発生
B 株主総会の特別決議
C 合併(合併により当該株式会社が消滅する場合)
D 破産手続き開始の決定
E 会社の解散命令又は会社の解散判決
F 休眠会社のみなし解散

解散した会社は清算の目的の範囲内でのみ存在することになるため、
合併の存続会社や吸収分割の承継会社となることはできず、
また株式交換や株式移転の当時会社となることもできません。

・解散から清算の結了までの流れは最短で2ヶ月で、取引規模の比較的大きな会社で2〜3年が一つの目安になります。

この事例からも清算手続きには最短でも2ヶ月半程度期間を要することがわかります。

・清算のパターンは以下の通りです。

・持分会社の清算

・清算株式会社は株主総会と清算人を設置しなければなりませんが
清算人会や監査役会の設置は任意となっています。

区分 内容
必要的設置期間 株主総会と清算人(*公開会社又は大会社は監査役も必要)
任意的設置期間 清算人会、監査役、監査役会
(解散前)取締役 退任。登記簿上からも職権抹消
(解散前)代表取締役 退任。登記簿上からも職権抹消
(解散前)会計参与 退任。登記簿上からも職権抹消
(解散前)会計監査人 退任。登記簿上からも職権抹消
監査役 留任。一部退任

このように株式会社が解散すると解散前の期間に新たに清算人という機関を置くとともに、
任意とされる清算人会、監査役、監査役会を設置するかどうかを意思決定しなければなりません。

・清算人の選任にあたっては解散時の取締役がそのまま行うことが多いと思われますが、
株主総会決議により別の人間を選任することも可能です。

・代表清算人について
清算人は清算株式会社を代表する者であるが、複数の場合は定款の定めなどにより清算人の中から代表清算人を選ぶことができます。
・事業年度と清算事務年度
会社は解散すると決算期を表す事業年度は清算事務年度になります。
この清算事務年度とは解散の日の翌日から始まる各一年の期間になります。

また定時株主総会で決議・報告する事項は次のとおりです。

・登記手続きに関して
清算人は解散の日から2週間以内に会社の解散と清算人の選任の登記を行います。
両方の業務を同時に行わなければなりませんが、登記も平行して行う場合が多いです。

その際必要となる資料は次のとおりです。

清算人のみの場合 清算人会設置の場合
定款
清算人の選任を証する書面 株主総会議事録 株主総会議事録
代表清算人の選任を証する書面 株主総会議事録 清算人会議事録
清算人・代表清算人の就任承諾書 ○(株主総会議事録
に記載してもよい)
○(清算人会議事録
に記載してもよい)

この他にはもちろん登記申請書が必要になり、司法書士に依頼する場合には委任状も必要になります。

清算結了の登記

株主総会において決算報告が承認されると清算結了となり、法人格が消滅します。
その場合清算株式会社は決算報告承認の日から2週間以内に清算結了の登記を行わなければなりません。

会社清算の会計

株式会社が株主総会の特別決議によって解散すると、選任された清算人は解散日現在の財産目録と貸借対照表を作成する必要があります。
財産目録とは、積極財産(資産)と消極財産(負債)の内訳明細であり、資産の部・負債の部・正味資産の部の3区分に分けて表示することとなっております。

その資産の部と負債の部についてはその内容を示す適当な科目に細分することとされています。

財産目録

科目 評価方法
現金 解散日までの経過利息を未収入金に計上
金銭債権 個別債権残高から貸倒見込額及び取立費用を控除した金額
貸付金は解散日までの経過利息を未収入金に計上
棚卸資産 売却可能価額から売却費用を控除した価額
有価証券 市場性があるものは時価から売却費用を控除した時価
市場性がないものは処分可能価額から処分費用を控除した価額
前払費用 契約解除による現金回収可能見込額を未収入金に計上
借入金利息の前払は原則ゼロ評価
仮払金 現金回収見込額は未収入金に計上し、その他はゼロ評価
土地(借地権を含む) 時価から処分費用を控除した価額
建物等取り壊して更地として処分する場合はその取壊費用をさらに控除
その他の有形固定資産 処分可能価額から処分費用を控除した価額
無形固定資産 原則としてゼロ評価
処分可能なものは処分可能価額から処分費用を控除した価額
繰延資産 ゼロ評価
税務上の繰延資産 契約解除による現金回収見込額を未収入金に計上
未払金 リース契約の解除に伴う違約金を一括未払金計上
契約解除により取得する固定資産は、その他の固定資産と同様の評価
借入金 解散日まで経過利息を未払金に計上
退職給付引当金 解散日現在での会社都合による要支給額を未払金に計上
法人税・住民税・事業税 事業年度開始日から解散日までの期間に係る所得金額に対する確定税額を未払金に計上
清算所得に対する税額を見積もり概算計上
偶発債務 割引手形の両建て計上
保証債務の履行が確実に見込まれるものは履行額を未払計上

会社清算の税務

会社清算の税務(申告)に関しては解散事業年度での申告、清算事業年度及び清算終了年度での申告が行われます。

年度 概要 計算書類 所得の計算方法
解散事業年度
(解散確定申告)
事業年度開始の日から解散の日まで 貸借対照表
損益計算書
株主資本等変動計算書
益金−損金
清算事業年度
(清算事業年度予納申告)
解散の日の翌日から1年ごとの期間 貸借対照表
損益計算書
勘定科目内訳明細書
益金−損金
清算終了年度
(清算確定申告)
解散の日の翌日から1年ごとの期間 貸借対照表
財産目録
解散の時から残余財産確定の時
までの清算に関する計算書
【清算所得】=残余財産の価額−
(解散時における資本金等の額+利益積立金額等)
解散確定申告
〜解散から清算結了までの税務申告手続きの流れ〜

清算事業年度予納申告
清算中の会社の目的は会社の財産や債務を整理し、株主に分配する残余財産を確定することにありますが、
場合により清算事務が長期化することによって清算所得に対する課税が遅延するのを防ぐために予納申告の制度が設けられています。
清算確定申告
申告時に注意すべきポイントを挙げます
@残余財産の中に金銭以外の現物資産がある場合
残余財産は有価証券や不動産等の現物によっても分配することができます
この場合、残余財産の価額は確定時の時価によって評価しなければなりません
A清算手続きに係る事後費用が発生する場合
清算人の報酬、清算結了に係る登記費用等は残余財産の価額から控除します
B解散時の利益積立金額がマイナスのである場合
単純にゼロとして計算します。残余価額から解散時の利益積立金額を控除するのは、
各事業年度の所得に対する法人税が課されている利益積み立て金額が二重課税になることを避けるためです
C会社が自己株式を保有している場合
清算所得の計算上では特に考慮する必要はありません
尚自己株式に関しては、残余財産の分配対象にはなりません
D残余財産の価額に算入されるもの
・清算中に納付する法人税
・清算中に納付する都道府県民税及び市町村民税
・清算中に納付する事業税
・上記納税金額に係る延滞金、過少申告加算金、不申告加算金及び重加算金
・清算中に支出した寄付金
(除く:@国、地方公共団体への寄付金。A指定寄付金。B清算業務の遂行上通常必要と認められるもの)
E利益積立金額に算入されるもの
解散時における利益積立金額に以下の金額を加算します
・関係法人株式等以外の株式等に係る配当等の50%相当+関係法人株式等に係る配当等の額
・清算中の還付を受け、または未納の国税もしくは地方税に充当された税金で次に掲げるもの
*損金不算入となった延滞税・加算税・過怠税・延滞金・加算金の額
*所得税額の還付金
*欠損金の繰戻し還付による還付金
*外国法人税額で控除対象外国法人の額に相当する部分及び付帯税の負担額等
*罰金、科料及び過料ならびに課徴金、延滞金
F解散した法人の株式等の取得とともに事業を承継した場合
次の3つの要件に該当する時、実質的に残余財産の分配であると認められる部分を営業権の額とみなし清算金額を計算します
@解散した法人の株主等の1人が、その法人の発行済株式総数等の1/2以上を取得した事実があること
A株式等の取得目的が、その法人の事業の全部または重要部分を承継するために行われたものと認められること
Bその法人の残余財産の価額がその取得した株式等の1株当たりの平均取得価額にその法人の発行済株式総数を乗じて計算した金額に満たないこと
各申告の違い
解散確定申告 清算事業年度予納申告 清算確定申告
所得計算の基礎 損益法 損益法 財産法
特別償却 ×
引当金(貸倒、返品調整)の繰入 ×
準備金の繰入 × × ×
圧縮記帳 ×
特別勘定 × × ×
収用換地等の所得の特別控除 × ×
交際費等の損金不算入 × ×
欠損金の繰越控除 ×
欠損金の繰戻還付 × ×

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